判断の基準は多ければ多いほどいい。ただし,迷わない程度にな。
これは,METALHEAD の戦闘(特に火器を用いた戦闘)をよりリアルな(そして複雑な)ものにするための上級ルールです。METALHEAD のオリジナリティは「SUV ランク」と「高いスキルを持つ者ほど大きなダメージを与えることができる」ということに代表されるので,これらのルールに関してはなるべく使用する方向で Full Metal Jacket を作成しました。しかし,その他の要素に関してはたいてい大幅な変更が加えられています。そのため上級ルールとはいってもまったく別のものになってしまいました。さらにリアリティを高めるため,戦闘における処理がかなり煩雑になっています。このルールを使用する場合はこれらの点にご注意ください。
…改修を重ねるごとになんだか違うゲームになっている気がしますが。
…といっても私がプレイしたことのあるサイバーパンク RPG は METALHEAD と GURPS(R) CYBERPUNK だけです。SHADOWRUN や CYBERPUNK 2.0.2.0 もプレイしたいのですが(TOKYO NOVA は別にいいや),金も暇もありません。どなたか METALHEAD との比較ということでレビューを書いていただけませんかねぇ。
とりあえず GURPS(R) CYBERPUNK ですが,METALHEAD とは比べ物にならないぐらいリアルです。社会(日本語版では省略されていますが),サイバーウェア,ネットランニング…どれをとっても非常によい出来です。しかし METALHEAD も,戦闘のスピーディさとマシーン製作・運用の簡易さを考慮に入れれば,総合的なプレイアビリティの高さという点では決してひけをとりません。このプレイアビリティの高さを維持しつつリアリティを追求しよう,というのがこの Full Metal Jacket のコンセプトなわけですが,私とは逆に GURPS を METALHEAD に近づけようという方もいらっしゃいます。くわしくはリンク集をご覧ください。
人間の最大移動力は,STR と REF のどちらか低い方 +10 とします。強靭な筋肉とそれを操る研ぎ澄まされた神経がないと,速く走ることはできないのです。
攻撃フェイズのはじめに「移動しないで攻撃する」のか「移動しながら攻撃する」のか,それとも「移動してから攻撃する」のか判断します。
METALHEAD では,反動による修正と距離による修正をひっくるめて各武器に固有の命中率修正としていましたが,Full Metal Jacket ではこの 2 つを分けて,反動による修正は腕力でカバーできるようにします。
〈狙撃〉スキルの扱いを変更し,直接命中判定には使用ないこととします。〈狙撃〉スキルは,みずからの精神と肉体をコントロールし,ある程度の時間を費やして狙いを定め,正確な射撃を行うためのスキルです。また,狙撃に役立つ道具などに関する知識も含まれます。以下の狙撃用ツールを入手したい場合は,〈狙撃〉SR に成功する必要があります。SR はそれぞれの品物に対して行い,チャンスは 1 シナリオにつき 1 回だけです。
火器スキルに限って言えば,キャラクターのスキルの値というのは「射手が立ち止まって,10 m 先の回避行動をとっている人間を,反動を押え込める銃で,両手で構えて 3 秒以内に撃ったときの命中率」を表しています。
METALHEAD では大きさ,用途,操作方法など様々な要素によって各種武器と対応スキルが分類されていますが,Full Metal Jacket においては純粋に攻撃時の扱い方によって武器とスキルを分類します。
火器を扱うときの技能とは別に,以下のような分類を設けます。
銃の種類 | タイプ |
---|---|
バレルが非常に長い銃 | L |
バレルが長い銃 | M |
バレルが短い銃 | S |
サイトを使用しない | SS |
武器にはそれぞれ,弾薬の発射率,装薬量,構造によって固有の要求 STR(Required Strength,以下 RS 値と略す) が設定されています。つまり,単位時間当たりの発射数が多く,装薬量が多く,ストック(銃床)のないものほど RS 値が大きくなるわけです。STR がこの RS 値より小さいと,足りない分に 10 をかけたものが命中率減少(%)となります。そのため,反動が大きすぎて一般人には扱えないような銃でも,サイバー化で筋肉を強化した者ならば力で反動を押さえ込んで,命中精度を上げることができるのです。
銃は基本的に両手で持つことになっているので,片手で射撃する場合は STR に -2 の修正を加えた上で命中率減少を算出してください。
この命中率減少は手持ち火器にのみ適用します。理由は,搭載火器はしっかりと固定されていて反動を気にしないですむためです。反動が大きい火器は,その反動が無視できないほど軽いマシーンには搭載できないので無視します。
銃には一般的に 3 種類の射撃モードがあります。シングル(セミ・オート), バースト,オート(フル・オート)です。METALHEAD ではこれを S,B,A と表記しています。
S は,トリガーを引くごとに 1 発ずつ弾が発射されます。1 発ごとに命中判定とダメージの算出を行ってください。B は,トリガーを引くごとに 2〜4 発ずつ発射されます。1 発ごとに命中判定を行って,2〜4 発の中で最も最終火力の高くなるものを 1 つだけ適用してください。ただし命中部位は 2〜4 発の中で最初に命中したときのサイコロで決定された部位とします。A はトリガーを引いている間,弾が連続で発射されます。3 発につき 1 回命中判定を行ってください。2 回目の命中判定でも同一目標を狙う場合は命中率に +10% のボーナスがつきます。以後同一の目標に対しては命中判定 1 回ごとに +10% してください。B や A のあとの数字は,トリガーを 1 回引いたときに発射される弾の数を表します。
シングルとバーストで射撃するときは,「移動しないで攻撃する」か「移動しながら攻撃する」なら 1 ターンに REF ÷ 2 回まで,「移動してから攻撃する」なら REF ÷ 6 回(いずれも端数切り捨て)までトリガーを引くことができます。その気になれば拳銃の 1 マガジンを 1 ターンで撃ち尽くすこともできます。また,発射方式が S の武器も B の武器も,1 回ごとに目標を変えることができます。しかし,目標が 1 つ増えるごとにそのターンの射撃の命中率にそれぞれ −10% のペナルティがつきます。
オートでは 1 ターンに 1 回しかトリガーを引けません。弾の発射数は「移動しないで攻撃する」か「移動しながら攻撃する」なら A のあとの数字に 1,2/3,1/3 をかけたもののうちどれかを選べますし(あまり細かい調整はできません),「移動してから攻撃する」なら A のあとの数字に 1/3 をかけたものになります。目標は 1 ターンあたりの弾の発射数 ÷ 3 まで増やせます。ただし,どの目標にも同一数発射しなくてはならず,目標が 2 体増えるごとに(ここが S,B にくらべて有利な点です)命中率に −10% のペナルティを受けます。たとえば,A30 の武器で 10 体の目標を狙うときは,それぞれに 3 発ずつ発射でき,命中率に −40% のペナルティがつきます。目標が 4 体ならそれぞれに 6 発ずつ発射するか(6 発が無駄になります),3 発ずつ発射(8 発が無駄になります)することになります。
METALHEAD では連射可能な兵器は命中率が高くなる傾向がありましたが,これは命中判定を何回もするよりは,期待値として命中確率を上げた方がプレイアビリティが高くなるということを考えてのことです。そこで上級ルールである Full Metal Jacket ではリアリティを重視して,連射兵器は反動によって命中率が下がることにします。発射方式が B なら RS 値+2,A なら +4 です。また,S,B では 1 ターンあたりの発射数にさらに最大 1D6 発を追加することもできますが,追加した回数が武器の RS 値に加算されます。武器表の RS 値は,S で射撃するときの値を示しています。
格闘戦武器は 1 ターンに STR ÷(武器の ENC × 3)回攻撃できます(端数切り捨て,最低でも 1 回)。「移動してから攻撃」ならこの回数は半分になります。
格闘戦においては,1 ターンにつき最大「REF の 10 の位 + 該当スキル%の 100 の位 − 武器の ENC」回の攻撃が行えます。ただし,攻撃回数が 1 回増えるにつき,命中率に−10%の修正がつきます。
人間が移動しながら射撃をする場合は,命中率に 移動距離(m) × -10(%) のペナルティが課されます。この数字に根拠はありません。
移動中のマシーンから,操縦者以外の者が搭載している武器で目標を狙う場合は,移動距離 × 0.5 が命中率へのペナルティとなります。ただし,舗装路を走っているときやホバーで駆動するマシーンの場合は,ペナルティは移動距離 × 0.1 となります。
移動中のマシーンから,操縦者が搭載している武器で目標を狙う場合および操縦者以外の者が手持ち武器で目標を狙う場合は,移動距離 × 0.1 が命中率へのペナルティとなります。操縦者はマシーンの挙動をある程度予測できるので,ほかの乗員に比べると命中率へのペナルティが小さいのです。また武器を手で持つと,支持架に設置したときと違って,路面からの衝撃を吸収しやすいので,これもペナルティを小さくする要因となります。舗装路を走っているときやホバーで駆動するマシーンの場合は, このペナルティはありません。
移動中のマシーンから,操縦者が手持ち武器で目標を狙う場合は,ペナルティは一切ありません。ただし,ナビゲートか射撃(任意に選択)の SR の難易度が 1 段階上がります。
もともとのルールでは目標のタイプを分類し,それぞれについて大きさと機動性を考慮に入れて命中率修正を設定していましたが,Full Metal Jacket では大きさと機動性を別々に判定します。
問題になるのは相対速度と目標までの距離です。相対速度が大きければ命中率は下がりますし,目標が遠ければ速度はさほど影響を与えません。というわけで,命中率修正は移動後の相対速度(MV)× 10 / 距離(m)とします。
移動の方向についてですが,目標がこちらに向かってくる(もしくは遠ざかろうとしている)ときは速度の影響は小さいのでは? と思われるでしょう。しかし,大抵のマシーンは前面投影面積が小さいので,それによる命中率減少と相殺するということで向きは気にしないことにします。人間については見逃してください。
目標が人間大のときは修正はありません。それ以外のものについては表を参考にして修正値を決定して下さい。目標が大きいほど命中率は上がります。
目標の種類 | 修正 |
---|---|
バイク,ホバークラフト | +20 |
バギー,コンバットシェル | +30 |
ポケットタンク,シェルキャリア | +40 |
ガンドッグ,ワゴン類,トラック,HCS | +60 |
インセクター,ホバータンク,装甲車 | +80 |
カーゴ,戦車 | +100 |
Full Metal Jacket では〈狙撃〉スキルを使用しないかわりに,通常の射撃においても攻撃目標を細かく設定できます。当然,小さな部位を射撃の対象にするときは,その大きさに応じて命中率は減少します。
減少率は,細部命中判定表から計算します。たとえば人間の場合,胴体(2 から 9 の 6,7,8 で命中)を狙うなら命中率は 50% 減少し,頭部(9 で命中)を狙うなら 70% 減少します。つまり,狙っていない部位に割り当てられた目の数 × 10% が命中率減少になるわけです。
ここで,人間なら胴体と頭,マシーンなら本体を狙った場合は,通常の命中率「以下」の目を出して外すと,狙っていない部位に当たってしまいます。あらためて 1D10 して命中部位を決定したあと(狙った部位になった場合は振り直す),通常の攻撃と同じようにダメージを算出してください。これは,胴体と頭(または本体)を狙うという行動が,ほとんどの場合にはより確実な目標の殺傷(または破壊)を目的としているからです。腕に自信がないときは普通に攻撃した方がよいこともあります。
それ以外の部位を狙ったとき(おそらく目標の無力化を目的としているのでしょう)は,通常の命中率「以上」の目を出して外すと,狙っていない部位に当たってしまいます。サイコロの目から命中率を引いた値に武器火力を足してダメージを算出してください。これによって「腕を撃つつもりが頭に当ててしまって死んじゃった」「タイヤを撃って搭乗員を捕獲するつもりが爆発炎上してしまった」ということは少なくなることでしょう…って元のルールではそんなことは起こりませんね(笑)。
射撃および投擲を行う際に,精神集中したり息を止めるなどして,時間をかけて狙いを定めることによって命中率を上昇させることができます。この行為を「狙撃」と称します。上昇率は 1 ターンにつき該当スキルの 1/4 です(端数切り捨て)。ただしこのボーナスは,発射モードが S,B ではトリガーを引いた最初の 1 回にしか適用されません。また,発射モードが A では最初の 1 発にしか適用されません。狙いを定めるのに費やすことができる時間は最大 2 ターンです。それ以上は精神的・肉体的に無理が生じます。結果として,ヘタクソはどんなに狙っても当たらないということになります。このとき〈狙撃〉SR に成功すれば,さらによぶんに 2 ターンを狙いを定めるのに費やすことができます。目標が射手に気付いていて回避行動をとることが可能な場合は,狙撃は不可能です。
距離が 2 倍になれば,投影面積は 1/4 になります。じゃあ命中率も 1/4 かというと…そう単純ではありません。近距離では問題にならなかった命中精度が,遠距離では大きな問題になるからです。
距離による命中率変化に関わってくる要素は大きく分けると 2 つです。1 つはサイトの性能です。拳銃のようにバレル(銃身)が短い銃では,サイトにおける照準のずれを高精度で検出することはできないため,長距離射撃での命中率は大幅に低下します。もう 1 つは有効射程です。弾丸はその射出速度や形状によって,まっすぐに飛んでいく距離や運動エネルギーを保持できる距離が決まってしまいます。
バレルの長さに関しては,いずれのタイプも目標からの距離が 10 m なら距離修正はありません。しかし,目標からの距離が 10 × 2^n(2 の n 乗)m のときは以下のような修正が命中率に加わります。
L タイプ | −n × 5% |
M タイプ | −n × 10% |
S タイプ | −n × 20% |
SS タイプ | −n × 40% |
また,有効射程外においては,この修正をさらに 2 倍してください。有効射程については武器のリストを参照してください。
METALHEAD では「限界ダメージ」が設定されていましたが,これは全体的に高すぎるように感じられるため,Full Metal Jacket ではこれを廃止して「限界火力」を設定します。限界火力は 100 + 武器の火力 × 2 です。対人戦闘ならば,さらに負傷による修正を加えます。格闘戦ならば STR 修正も加えます。
機動回避の成功率は〈ナビゲート〉スキル + マシーンの REF とします。REF が高く,小回りのきくマシーンほど機動回避がしやすいのです。SR1/n のときは,(スキル × 1/n)+ マシーンの REF が成功率です。難しい局面ほどマシーンの性能が大事になってくるのです。
クリティカルとアクシデントの種類は 2D6 で決定します。「即死」と「爆発」の確率を下げるためです。
2D6 | 効果 |
---|---|
2 | 敵の知覚系は大きなダメージを受ける。該当する器官やパーツが 1 つ破壊され(GM が決定),頭部に MO のダメージを受け,PER が 2D6 減少する。 |
3 | 敵の右腕の関節は大きなダメージを受ける。右腕に HW のダメージを受け,持ち物を落とし,DEX が 2D6 減少する。 |
4 | 敵の右脚の関節は大きなダメージを受ける。右脚に HW のダメージを受け,転倒し,REF が 2D6 減少する。 |
5 | 敵の知覚系はダメージを受ける。該当する器官やパーツが 1 つ(GM が決定)次のターンの終わりまで使用不能になる。頭部に HW のダメージを受け,PER が次のターンの終わりまで 2D6 減少する。 |
6 | 敵の知覚系をかすめる。敵はふらついて,次のターンの終わりまで REF が 2D6 減少する。 |
7 | 敵はバランスを崩して転倒する。 |
8 | 敵の頭部に衝撃を与える。敵は体に力が入らなくなって,次のターンの終わりまで STR が 2D6 減少する。 |
9 | |
10 | 敵の左脚の関節は大きなダメージを受ける。左脚に HW のダメージを受け,転倒し,REF が 2D6 減少する。 |
11 | 敵の左腕の関節は大きなダメージを受ける。左腕に HW のダメージを受け,持ち物を落とし,DEX が 2D6 減少する。 |
12 | 敵の中枢を破壊する。敵は胴部か頭部(ダメージの大きい方)に K のダメージを受け即死する。 |
2d6 | 効果 |
---|---|
2 | 各種制御装置を破壊する。敵マシーンは動作不能となる。修理には部品(部品の価格は本体価格の 1/4 )が必要で,〈精密〉SR |
3 | ヘルメットのシールドや窓にひびが入ったり,外部監視モニターが接触不良を起こしたりする。敵マシーン搭乗者は 1D3 ターン外部の状況が分からない。 |
4 | |
5 | |
6 | 兵装やその制御装置に命中する。その兵装は以後誤作動を続ける。修理には〈火器〉SR |
6 | 兵装の制御装置(なければ兵装に)命中する。敵マシーン兵装は動作不能。修理には〈精密〉SR |
7 | フレームに大きな損傷を与える。ダメージを 2 倍にする。 |
8 | 兵装に命中する。敵マシーン兵装は動作不能。修理には〈火器〉SR |
9 | 操作系を破壊する。敵マシーンは操作不能となる。 |
10 | ドライブを 1 箇所破壊する。 |
11 | エンジンを破壊する。敵マシーンは移動不能となる。 |
12 | エンジンや燃料,弾薬を直撃する。敵マシーンは爆発炎上する。 |
火力というのは貫通力と破壊力を合わせて数値化したものです。火器の火力は,口径,装薬量,弾丸の形状などにより異なります。口径を大きくして装薬量を増やすことで火力は確実に大きくなりますが,特殊弾は弾丸の形状によって貫通力と破壊力に及ぼす効果が異なるため,以下のように設定します。