アンバー家の館をプレイするときの注意点

感想と助言(もうやったかたと、これからやろうとする DM に)

 感想と助言ということで、DM をやった私のほうから少し。
 いやー、いいですね。容赦のないモンスター、容赦のないトラップ、容赦のないクリア条件、どれをとっても泣きそうです。ワンダリング・モンスターにアンバー家の人間がいるのには参りました。全体としては私は大満足のシナリオでしたが、欲を言うなら、1 つの章の中で連携した謎などがあるとよかったです。ほとんどの部屋はそれ 1 つで独立していて、関連性のないのが残念でした。
 逆に章ごとに独立した設計はおもしろかったです。「館もの」という限られた設定の中で、館の住人からの陰湿ないじめもあり、室内庭園での少女との出会いもあり、教会でのアンデッドとの対決もあり、果てはオープン・フィールドでの人々との交流もあり、といったありとあらゆる冒険が楽しめます。章ごとでちゃんと区切って遊べば、誰も同じシナリオだと気づかないでしょう…いや、そうじゃなくて、プレイヤーは飽きずに遊ぶことができるでしょう。誰でも、気が狂った人でいっぱいの館の中に(実時間で)20 時間も居たくないですよね。
 あと、これは D&D(R) のシナリオ全体に言えるのですが、非常にシナリオへの「押し」が強いのに好感が持てます。今回のシナリオも「寝ていたら霧に包まれていた。霧に入ると死ぬ。霧のないのは館の入口だけ」という、笑ってしまうくらい強力な押しが用意されています。もちろん DM は楽ですし、憶病な PC(というかプレイヤー)にとっても非常に気が楽です。「押し」よりも「引き」が良しとされる傾向のある現在の RPG の流れとは少し外れていますが、楽なのが一番です。しかしこのシナリオ、かなりゲームバランスがきついです。というよりもこのままでは絶対に解けません。解けないほどハードなところも D&D(R) の良い所なのでしょうが、私は解いて欲しかったので、改良案を考えました。

a)回復系マジックアイテムを与える

 これは別にルールにもコンセプトにも外れないので、実際にやってもなんら問題はありません。今までの冒険でスタッフ・オブ・ヒーリングをもらったとか、ポーション・オブ・ヒーリングをどっさりもらったとかいう設定にしてしまいます。だいたい 100 回程度キュア・*・ウーンズが使えたら、あとはルール通りにやっても大丈夫だと思います。それからレイズ・デッド・フリィの巻物も少し必要ですね。

b)ステファン・アンバーを強力に

 シナリオの章の切れ目ごとに出てきてパーティを助けてくれるステファン・アンバーさん。ルール的にはヒットポイントの回復と呪文の回復、経験点算出とレベル上げを行ってくれるいわゆる「宿屋」みたいな物ですが、これを強力にすることでもバランスが取れます。例えば死者の復活ができたりするなんてのがあります。死体がなくても復活できるとなお楽ですね。さらには願い事を聞いてくれたり、呪文を教えてくれたり、回数制限を付けてどこでも出てこれたりということができるようにしてもよいです。

c)ワンダリング・モンスターの出現頻度の調節

 さて、そろそろシナリオに直接変更を加えることにしましょう。今度はワンダリングモンスターの出現頻度を下げます。シナリオでは室内ではだいたい 2 ターンに 1 回 1d6 をして、1 なら出現となっています。つまり毎日 8 時間労働をしていると、4 回は期待値的にはモンスターが出ることになります。日によっては 1 日 6 回くらい出ることもあるでしょう。これではいくら回復しても PC は生き残れないです。絶対。ところが、D&D(R)の別のシナリオには「ゲームバランスのため、ワンダリングモンスターは PC が回復するまで次を出さないようにしましょう。」なんてのがあります。そこで、これをこのシナリオにも適用します。すると、PC は好きなだけ休むことができ、いつもフレッシュな状態でプレイできます。こう書くと際限がなくなってしまうような気がしますが、なんといっても PC には食料が必要です。食料の量でバランスを取ることができます。

d)コンピュータゲームのようなプレイング

 これは今までのやり方とはがらっと変わります。全くルール通りに進めていき、全滅したら、何事もなかったかのように最初からやり直します。そうして何度も挑戦していくうちにプレイヤーの知識がたまって、的確に障害を乗り越えていけるようになります。プレイヤーが成長していくわけです。さらに、章の区切りごとにセーブをしておくとなお楽になります。さもなければプレイヤー 1 人が 6 体のクローンを持って、1 人死んだら 2 番目が即座に出て来るという「残機制」を採用するという手もあります。この際リアリティはガープスあたりに置いてきてしまってください。

 実際には私は b と c を採用しました。しかし、実際にはステファンさんに頼ることはありませんでしたので、c だけでも十分だったようです。

 モンスターが強いことを除けば、マスタリングで難しいところはありません。なにしろ知能のある NPC はみんな狂気の人です。基本的には何をやってもいいのです。初心者マスターのかたも、心配せずにやってみてください。PC が全滅する以外のシナリオの崩壊はまずあり得ませんから。


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