B10 ナイツ・ダーク・テラー
プレイング・アドバイス

冒険 1:サキスキン包囲

川での襲撃。まともな PC ならば船の上で金属鎧を着たりはしないでしょうから,この戦闘は思いのほかハードです。敵が乗船するまでに PC が大怪我をしていたら,そこで射撃は止めましょう。魔法使いが ESP を使える場合,あらかじめここで与えてもいい情報をきちんと決めておくべきです。なお,舌を噛みきる云々は英語版には一切書かれていませんので,それほどこだわることもないでしょう。

農場の襲撃。冒頭から緊迫した空気を醸し出すようがんばりましょう。状況説明時は,NPC にうまく台詞を割り振って全員を印象付けておきます。でないと,このあとしばらく NPC は単なる戦闘ユニットとして扱われてしまいます。PC に若い男性がいるのなら,イリナかマーシャを利用するというのもいいでしょう(いささか安直ですが)。ピョートルのレベルが高いことはプレイヤーに知られないよう気をつけましょう。でないと「こんなやつがいるんなら平気だな」とやる気をなくしてしまいます。

馬の奪還を依頼。プレイヤーが NPC に愛着を感じていないと,ここで一気に士気が低下します。ローフルのキャラクターにがんばってもらうしかないでしょう。場合によっては,フョドールの宝を増やしてとっとと戦闘に持ちこみ,フラストレーションを解消したほうがいいかもしれません。

冒険 2:川の南側

ここでは,プレイヤーがつねにステファンのことを気にかけるようにしなくてはいけません。そのため,ステファンの現状をなんらかの形で少しずつ教えるよう工夫する必要があります。固定エンカウンターはもちろん,ランダムエンカウンターもうまく利用して情報を小出しにしてください。

ダンジョンは数多く用意されていますが,すべてを回らせようと思ってはいけません。パーティが最初に訪れた場所で,ゴブリンのねぐらのありかを教えてあげてください。どうしてもうまくいかなければヴラックをワンダリングモンスターとして登場させてしまいましょう。ただし,ヴラックが戦闘で死んでしまわないよう,早めの降伏を心がけてください。「死よりも恐ろしいもの」とやらはこの際忘れましょう。

冒険 3:ジターカの廃墟

X10 の部屋で魔法使いがのんきに尋問中というのはいささか不自然かもしれません(とくに,塔の発見まで長期間を要した場合は)。状況に応じてステファンの居場所を変更してください。たとえば,襲撃から 1 ヶ月以上たっていたら汚物にまみれた地下牢で瀕死とか。

この時点で,背後の組織の存在を PC が感じとっていないようなら,報告書のようなものを魔法使いの部屋に残しておいてもいいでしょう。なにはともあれ,このパートは目標がはっきりしているので,それほどてこずることもないはずです。

冒険 4:スレッショールドへの旅

さて,このパートでいちばん難しいのは,PC の動機付けでしょう。ステファンを救出し,いくばくかの宝を手に入れたパーティは,ともするとタペストリーにまったく興味を示さないかもしれません。その場合,適切な技能を持った PC に宝の存在を示唆するとか,トララダラ教会の僧侶をハラフ神話崩壊の危機だといって煽るとか,いろいろと工夫が必要になるでしょう。いずれにせよ,このあたりからはシナリオ通りにストーリーが進行する可能性は極端に低くなってきます。パーティを谷に連れて行くのを最終目標として,うまくシナリオを練り直してください。

ちなみに私が DM だったときは,ステファン救出に 2 ヶ月以上かかたっため,その間にアイアン・リングが態勢を立てなおしてふたたび農場を襲撃したことにしました。当然農場には地図は残っていないので,あらかじめジターカで地図の写しを入手させておきました。さらに,アイアン・リングがパーティを懐柔しようと接触を試みたり,それを阻止しようとゴルサーの一派があれこれ策をめぐらすといった展開にしてみました。まあ,そこまでする必要はなかったですが。

冒険 5:スレッショールド

シティ・アドベンチャーということで一見ハンドリングが大変そうですが,実は一本道シナリオです。それほど悩むことはないでしょう。そろそろゴルサーがパーティに倒される可能性が高くなってきますので,覚悟をしておいてください。

冒険 6:ブラックピーク山脈へ

ノールの出現はうまく演出しないと,パーティが戦う気になってしまいます。また逆に,ノールを出しすぎてパーティが逃げられなくなるのも困りものです。山の小道は,馬が 1 頭また 1 頭と減っていき,最終的にはどうやっても徒歩でないと進めないといういやらしい設定です。プレイヤーがかわいそうだと思ったらさっさと馬を全滅させてしまいましょう。

冒険 7:ヒュターカーンの隠れ谷。

いよいよ大詰めです。ここでは,対立する 2 つの種族の意見を,筋が通っていてなおかつ照らし合わせると矛盾があるというふうに調整しなくてはいけません。パーティが一方に肩入れせずに「用心棒」のようにうまく立ちまわれると面白くなるでしょう。むろん,どちらにも属せずに(=どちらも敵に回して)谷を歩き回ってもいいのですが,そうなるとよくある D&D のモジュールのように,目的を見失いがちです。気をつけましょう。

パーティは平和的解決を試みるかもしれません。それはそれでいいことなのですが,そんなことをしても宝物は得られません。なしくずしに戦闘に持ち込んでもかまわないでしょう。寺院の地下はぜひプレイヤーに地図を書いてもらいましょう。ボロボロになりながら地図を完成させた時の達成感はえもいわれぬものがあります。それで隠し扉を探すのを忘れられてしまうとツライものがありますが。最後に出て来るカルトーバですが,パーティの強さに合わせて適宜ヒット・ポイント等調節し,緊張感のある戦闘にしてください。

なお,私といっしょにこのモジュールをプレイしたラウールさんのサイト「ラウールの幻想電誌」に,プレイレポートが掲載されています。もちろんネタバレ満載ですが,ご参考までに。


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