デザイン | Aaron Allston |
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編集 | Newton Ewell and Lance Kandler |
製品管理 | Bruce A. Heard |
表紙デザイン | Dee Barnett |
挿絵 | Arnie Sewkel |
国境デザイン | Robin Raab |
美術監修 | Peggy Cooper |
地図作成 | Dennis Kauth |
大地図 | Joel Meyer |
発行 | Angelika Lokotz |
発売日 | 1992 年 11 月 |
サイズ/ページ数 | 152×227/240 |
#TSR | AC1010 / 9372 |
D&D のオフィシャルワールドであるミスタラ――その設定資料集の決定版がこの「プア・ウィザーズ・オールマナク」です。「プア・ウィザーズ・オールマナク」は,いうなればミスタラ世界の旅行ガイドであり,1987〜1992 年にかけて発売された Gazetteer シリーズと Hollow World シリーズの集大成とでも言うべき内容となっています。またそれだけでなく,品番が示すとおり,AC1010 年にミスタラのさまざまな場所で起こるであろう(またはすでに起こった)あらゆる出来事についても記してあります。ですから,Wrath of the Immortals と同様,D&D(AC1000)から AD&D の Mystara(AC1010)への橋渡しとなるサプリメントでもあります。それでは内容をもう少し詳しく見てみましょう。
前半部分は,惑星ミスタラの構造に始まり,数多くの国々の簡単な説明,有名人の紹介,そして暦や貿易などの雑多な知識などが掲載されています。当然のことながら,ミスタラの「内側」の存在や,そこにある多種多様な国家についても説明されていますので,Hollow World を読んだことのない人は気をしっかりと持ったほうがよいでしょう。
国家の解説セクションでは,GAZ シリーズとして出版された国はもちろん,各種のモジュールで名前だけが紹介されていたような国についてもそれなりの情報が得られますので,他の人とはひとあじちがった公式モジュールをプレイしたいのなら役に立つことでしょう。たとえば代表的なものとしては,ヒュール聖王国(X5),ウェンダー王国(X11),オーシャンセンド王国(CM1)などが挙げられます。
それに続くのが各国の軍隊の説明です。集団戦闘ルールで使用される BR や兵員クラスなども付記されていますので,X10 のつづきをしたい人にはうってつけです。またセクションの最後には各国の暦と,おまけに星占いなども載っています。
後半部分には,AC1010 年にミスタラのあちこちで起こるであろう事件の数々が列記されています。しょっぱなから「“見者”クラランサ,著書『クラランサの地球のまんなか旅行記』を出版」なんて見出しがあり,ドキドキさせられます。それぞれの説明文には,「その事件に対して PC がどのような行動を起こせるのか」といったアドバイスも含まれていますので,シナリオソースとして使うことができます。とはいえ,基本的には「読んでおくと,コンベンションで自慢したりマニア同士の会話で盛り上がったりすることのできる楽しい読み物」と思っていただいたほうがいいでしょう。私は大好きです,こういう本。
製品リストからわかるように,この Almanac は AC1013 年ぶんまで出版されています。1012 年までは,前半はほぼ同じ内容で,後半のみが違っているのですが,AC1013 の分に関しては,なんと著者がハーフリングになっています。このハーフリングは Joshuan Gallidox という,AD&D の Karameikos ボックス・セットではおなじみのキャラクターです。何でも彼は,AC1012 までの Almanac を書いていたジアティスの魔法使いから,賭けでこの本を著す権利を得たというのです。じっさいには彼は編集者という立場であり,内容については彼の友人たちの「報告」という形になっています。これが,各執筆者の主観の入ったなかなか面白い読み物になっていて,なかには[検閲済み]の文字ばかりで肝心な部分がぜんぜんわからないような文章もあったりします。資料的価値はいざ知らず,ここまでやってくれたという意味では注目すべき本です。機会があったらぜひいちど手にとってみることをお勧めします。
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