D&D ルール補足

D&D のルールはお手軽さを優先して作られているため,わかりにくい部分があったりルールでフォローできない状況が発生したりします。それが不満であるという人たちが AD&D に手を出したりするわけですが,このページではあくまで D&D にこだわりたい方のために,補足というかたちでそういった部分をカバーしていきたいと思います。

呪文の妨害

「D&D ルールサイクロペディア (1) プレイヤーズ」の 174 ページに

呪文を唱えている最中にキャラクターが邪魔をされると(戦闘で攻撃が命中する,つかみかかられるなど),呪文は無駄になってしまいます。

という記述があります。言うまでもなく,このルールは自分がイニシャチブを失った場合に適用されるルールです。しかし,「キャラクターが呪文を唱えている最中」が具体的にどの期間であるのかはルールではっきりとは規定されていません。戦闘ラウンドが始まった時点からなのか? 味方の行動順がまわってきてからなのか? そのあたりをはっきりと決めてしまいましょう。

1. 呪文の詠唱は戦闘ラウンド開始時点から始まる
もっとも一般的なのがこの方法でしょう。戦闘が始まってから,自分の呪文が発動する前にダメージを受けるとその呪文は無駄になります。
2. 呪文の詠唱は先攻側の特定のフェイズから始まる
1. では厳しすぎるという場合,こちらのルールを使用するといいでしょう。たとえば,「呪文の詠唱は先攻側の接近戦フェイズから始まる」としておけば,敵の魔法や飛び道具でダメージを受けたとしても呪文は無駄になりません。
3. 呪文の詠唱は味方の行動開始時点から始まる
もっともゆるい制限です。ただし,イニシャチブが同時であった場合のみ呪文が無駄になる危険があります。

なおいずれにせよ,「ラウンド開始前に唱える呪文を宣言する」必要がありますのでご注意を。

移動したあとでできること

「D&D ルールサイクロペディア (2) ダンジョンマスターズ」の 158 ページに次のような記述があります。

キャラクターやモンスターは,最大の遭遇時速度(通常速度の3分の1)で移動したあと,さらに同じラウンド,攻撃をすることができます。

さて,ここでいう「攻撃」とは一体何を指すのでしょう。接近戦のみ? それとも飛び道具も? 答えは 162 ページにあります。この「攻撃」は英語では attack となっており,162 ページの見出し「攻撃(アタック)」と同一です。そう,つまり接近戦武器による攻撃のことなのです。

戦闘後退と退却

明記されてはいませんが,自分がイニシャチブを失った場合はこれらの行動をとることはできません。なぜなら,イニシャチブを失った場合の処理がどこにも書いてないからです。…少々乱暴ですが,イニシャチブを失った際のルールを考え出すとあまりにもややこしくなるので,このように処理してしまいましょう。

なお同時行動の場合は,「D&D ルールサイクロペディア (2) ダンジョンマスターズ」148 ページに書いてあるとおり,逃げたキャラクターを追いかけようとする敵はじっさいに移動する必要はありません。また,逃げたほうもアーマー・クラスにペナルティはありません。

遮蔽物の使い方

弓と石弓

弓を選ぶ際,射程の長さからロングボウを選ぶプレイヤーは多いでしょう(ハーフリングはショートボウしか使えませんが)。しかしこのロングボウ,その射撃姿勢ゆえに効果的に遮蔽物を使えません。倒れたテーブルのうしろにいようが,木の幹に隠れていようが,どうしたって体の半分〜3/4 は剥き出しになってしまうのです。

そこへくるとクロスボウは比較的コンパクトで,射撃姿勢の自由度も高くなっており,確実に体の 3/4 は隠しておけます。ライト・クロスボウなど片手で射撃可能です。ちょっとした銃撃戦気分を味わうにはもってこいでしょう。

頭隠して尻隠さず

射撃武器を使う敵が遠くにいるのを見つけたときは,キャラクターはできることなら物陰から物陰へと渡り歩こうとするでしょう。そうすれば,体を敵にさらしているのは移動フェイズだけなので,まったく攻撃を受けないからです。…あれ? ちょっと待ってください。選択ルールで「戦闘ラウンド中に一時的にしか姿を見せない敵への射撃」というのがありますよ? しかもよく読むと,呪文の場合も同じことが言えるようです。遮蔽を利用して敵に近づくときは,あらかじめ DM に「今日は基本ルールしか使わないよね?」とさりげなく確認しておきましょう。


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